初めてiRVisionを使う方へ
ファナックのロボットは、あらかじめプログラムに教えられたとおりに動作します。ロボットは教えられた動作を正確に繰り返すことができますが、言い換えると、ワークが決められた位置に置かれていないと、ロボットはワークに対して正しく作業することができません。これに対し、iRVisionを使うことで、ワークの位置がずれていてもロボットが正しく作業できるようになります。

はじめに、ロボットに作業内容を教えます。これはiRVisionを使う場合も使わない場合も同じです。適当な位置にワークを置いて、ロボットのプログラムに作業内容を教えます。これで、ワークが同じ位置に置かれていれば、ロボットはワークに対して正しく作業ができるようになります。ロボットに作業内容を教えたときのワークの位置を「基準位置」と呼びます。

次に、ワークが基準位置からずれていてもロボットが正しく作業できるよう、iRVisionを設定します。カメラを使ってワークを検出する処理は、ロボットのプログラムとは別に、ビジョンのプログラムとして教えます。ビジョンのプログラムはロボットのプログラムから呼び出すことで実行します。ビジョンのプログラムを実行すると、ワークを検出して、基準位置からどのくらいワークがずれているかという情報を返してくれます。ロボットは、プログラムに教えられた動作に対して、ワークのずれ分だけ位置を補正しながら動作します。基準位置からどのくらいずれてワークが置かれているかという情報を「補正データ」と呼び、iRVisionで計測した補正データに基づいてロボットの動作を補正することを「ビジョン補正」と呼びます。

補足
iRVisionは、ロボットの動作を補正する他に、ワークの良否を判定したりバーコードを読んだりすることもできますが、ここではロボットの動作を補正する用途に限定して説明しています。