動作付加命令は、ロボット動作中に特定の作業を行わせる命令です。動作付加命令には以下のものがあります。
加減速オーバライド
5.1."加減速オーバライド"を参照ください。
高性能軌跡一定制御
5.2."高性能軌跡一定制御"を参照ください。
直線距離指定
コーナー範囲指定
プロセス速度
直線最高速
5.3."アーク溶接"を参照ください。
ブレーク命令
5.4."ブレーク命令"を参照ください。
軌跡一定制御
5.5."軌跡一定制御"を参照ください。
協調制御
5.6."協調制御"を参照ください。
フランジ直線命令機能
5.7."フランジ直線命令機能"を参照ください。
インクレメンタル動作
5.8."インクレメンタル動作"を参照ください。
近回り動作
5.9."近回り動作(ハンドリングツールのみ)"を参照ください。
位置補正
5.10."位置補正"を参照ください。
直接位置補正
5.11."直接位置補正"を参照ください。
5.12."パス命令"を参照ください。
リモートTCP
5.13."リモートTCP"を参照ください。
サーチ命令
5.14."サーチ命令"を参照ください。
スキップ命令
5.15."スキップ命令"を参照ください。
先実行命令
5.16."先実行命令"を参照ください。
ツール補正
5.17."ツール補正"を参照ください。
直接ツール補正
5.18."直接ツール補正"を参照ください。
トーチ角表示機能
5.19."トーチ角表示機能"を参照ください。
手首各軸動作命令
5.20."手首各軸動作命令"を参照ください。
カクジク イチ[1] 50% イチギメ カソクド50
加減速オーバライド命令は、動作中の加減速にかかる時間の割合を指定します。加減速オーバライドはロボットが開始位置から目標位置まで移動する時の加減速時間を短くしたり、長くしたります。加減速オーバライド命令は目標位置に教示します。
加減速オーバライドの値の入力範囲は0%から150%です(内部的に下限は20%となります)。値は加減速にかかる時間の割合です。例えば、50%の加減速オーバライドは加速時間と減速時間が2倍の長さになります。図53."加減速オーバライド"では、加減速オーバライドの使用方法を説明しています。
基本的には動作を遅くする機能です。
加減速オーバライドを下げると、加減速時間が長くなります(ゆっくり加速・減速します)。慎重な動作を行いたい場合には、100%未満の値を使用してください。加減速オーバライドを上げると、加減速時間が短くなります(すばやく加速・減速します)。
加速度オーバライドに 100%以上の値を設定した場合は、ぎくしゃくした動きや振動を引き起こすことがあります。又、1 次電源に瞬間的に大きな電流が流れるため、設備電源容量によっては、入力電圧が低下し電源アラームや誤差過大、サーボアンプの電圧低下等のサーボアラームが発生する可能性があります。これらの現象が見られた場合、加減速オーバライド値を下げるか加減速オーバライド命令を削除してください。
コーナ軌跡指定機能は、軌跡を調節する為の直線距離指定機能とコーナ範囲指定機能を使用することができます。速度命令拡張機能は、ロボットの速度を調節する為の、プロセス速度高速化機能と直線最高速機能を使用することができます。
コーナ軌跡指定機能
直線距離指定機能
コーナ範囲指定機能
速度命令拡張機能
プロセス速度高速化機能
直線最高速機能
これらの機能を使用するためには、軌跡一定制御機能が有効である必要があります。
直線距離指定
直線距離指定は、パレタイジング等のアプリケーションでワークの取出しと設置に役立つ機能です。
図54."取出しと設置"は典型的な取出しと設置の動作軌跡の例を示しています。全ての位置決め形式が「イチギメ」または「ナメラカ0」であれば、取出しと設置の動作軌跡は図の様になります。
ロボットはイチ1からスタートし、イチ2を経由してイチ3でワークを取出します。それから、イチ2からイチ4を通ってイチ5に移動してワークを設置します。
一般的に、イチギメとナメラカ0はイチ3とイチ5への動作に用いられます。その他の動作に対しては、通常、大きな滑らか割合が用いられます。例えば、ナメラカを100に設定したときは、以下の図55."取出しと設置(ナメラカ100)"に示すような軌跡を通ります。
ロボットスタート位置 : イチ1 カクジク イチ[2] 100% ナメラカ100 チョクセン イチ[3] 2000mm/s イチギメ チョクセン イチ[2] 2000mm/s ナメラカ100 カクジク イチ[4] 100% ナメラカ100 チョクセン イチ[5] 2000mm/s イチギメ
ナメラカを使用することで、サイクルタイムを短縮することができます。しかし、イチ2からイチ3、あるいはイチ4からイチ5へ動作するときの直線部分の距離を指定することはできません。直線部分の距離を所望の値にするには、ナメラカの値を調節する必要があります。
直線距離指定機能を使用すれば、ナメラカの値を試行錯誤により調節する必要はありません。もし、イチ3の前に100mm、イチ5の前に150mm、直線で動作させたいのであれば、直線距離指定機能の命令を使用して、その距離を指定するだけです。図56."取出しと設置(直線距離指定)"を参照してください。
カクジク イチ[2] 100% ナメラカ100 チョクセン イチ[3] 2000mm/s イチギメ アプローチ100 チョクセン イチ[2] 2000mm/s ナメラカ100 リトラクト100 カクジク イチ[4] 100% ナメラカ100 チョクセン イチ[5] 2000mm/s イチギメ アプローチ150
直線距離指定機能では、以下の動作付加命令を使用することができます。
アプローチ:アプローチ直線距離
アプローチ命令はワークを置く動作等に使用します。
チョクセン イチ[2] 2000mm/s ナメラk0 アプローチ100 チョクセン イチ[2] 2000mm/s ナメラカ0 アプローチレジ[1]
2つめの例では、距離がレジスタ[1]により間接指定されています。
リトラクト:リトラクト直線距離
リトラクト命令は取出し動作等で使用します。
チョクセン イチ[3] 2000mm/s ナメラカ100 リトラクト100 チョクセン イチ[3] 2000mm/s ナメラカ100 リトラクトレジ[1]
2つめの例では、距離がレジスタ[1]により間接指定されています。
リトラクトの値は、イチ3-イチ2-イチ1のコーナに影響します。図57."直線距離指定(リトラクト)"を参照してください。リトラクトの値が大きいほど、軌跡がイチ2に近づきます。リトラクトの値が、イチ3-イチ2間の距離以上のとき、設定したナメラカの値に関係無く、イチギメ相当の動作になります。
アプローチの値は、イチ1-イチ4-イチ5のコーナに影響します。図58."直線距離指定(アプローチ)"を参照してください。アプローチの値が大きいほど、軌跡がイチ4に近づきます。アプローチの値が、イチ4-イチ5間の距離以上のとき、設定したナメラカの値に関係無く、イチギメ相当の動作となります。
指定した値と実際の直線の距離が若干長くなる事があります。ただし、指定した値より直線距離が短くなることはありません。
直線動作でのみ使用できます。
独立付加軸やポジショナでは使用できません。命令を付加しても無効になります。
マルチグループ動作機能を用いたとき、ロボットの動作は同期します。全グループで、直線部分の距離が指定した値以上になるように動作します。
先実行命令の実行タイミングは、直線距離指定機能がない場合と異なる可能性があります。ただし、実行のタイミングは再現性があります。
最高速度を使用した時、指定した直線距離は保証されません。
協調制御と使用することができます。
以下の機能とは使用できません。
直線最高速機能
ウィービング機能
連続回転機能
ロボットリンク
ロボット速度出力機能
操作.直線距離指定機能の教示方法
TPプログラム作成済である。
TPプログラムに直線動作命令が少なくとも1つは教示されている。
一覧キーを押します。
修正するプログラムを選択し、入力キーを押します。
デッドマンスイッチを握り、教示操作盤有効スイッチをオンにします。
動作命令を変更するために、修正する動作命令のある行にカーソルを移動します。
直線距離指定を使用する場合には、直線動作を修正します。
修正したい直線動作命令の最後の空白のところにカーソルを合わせ、F4[選択]を押して下さい。以下のようなメニューが表示されます。
動作文修正 1 リトラクト キョリ 2 アプローチ キョリ 3 ツール補正 4 ツール補正 イチレジ[] 5 サキジッコウ 6 アトジッコウ 7 サキジッコウ キョリ 8 --次ページ--
接近位置で直線距離指定を使用する場合は、「アプローチキョリ」を選択してください。
退避位置で直線距離指定を使用する場合は、「リトラクトキョリ」を選択してください。
ツール先端点を接近または退避する直線動作の距離をmmの単位で入力してください。
初期設定では、直線距離を直接入力するようになっています。単位をmmで直接入力して下さい。
レジスタに設定されている値を使用したい場合は、F3「間接指定」を押し、レジスタ番号を入力して下さい。
コーナ範囲指定
チョクセン イチ[2] 100mm/sec CRy
CRyは、直交動作で、コーナの大きさを調整する為の位置決め形式です。この位置決め形式を使用するときは、コーナの範囲 y(mm)を指定します。この機能を使用することで、コーナでの速度をできる限り一定に保つ事ができます。
コーナ範囲の値は、以下の図に示すように、教示位置からコーナ始点もしくは終点までの距離になります。コーナ範囲を指定した場合、コーナ部分が範囲内に納まるようにツール先端が動作します。実際のコーナ範囲は指定したコーナ範囲以下になります。
コーナ範囲を設定する際は、以下のことに注意して下さい。
単位はミリメートル(mm)で設定して下さい。
値は、0〜1000[mm]の範囲内の値を入力してください。
値が小さいほど、軌跡が教示位置イチ2に近くなり、コーナの大きさも小さくなります。
値が大きいほど、軌跡が教示位置イチ2から遠くなり、コーナの大きさも大きくなります。
コーナ範囲指定機能では、指定できるコーナの範囲に制約があります。以下の図のように、イチ1-イチ2間の距離の半分、イチ2-イチ3間の距離の半分より大きいコーナ範囲y(mm)が指定された場合、イチ1-イチ2間の距離の半分、イチ2-イチ3間の距離の半分がコーナ範囲として使用されます。実際のコーナ範囲は、これらの値以下になります。
教示点の間隔が狭いと、上記の制約により、コーナ範囲の値を大きくしても、実際のコーナ範囲が小さいままのことがあります。以下の方法に従って、軌跡を調節して下さい。
教示点の数は最小限にしてください。
教示点を追加する代わりに、CR位置決め形式を使って、教示位置を調節し直してください。
プログラムでCRyが連続して教示されている区間では、以下の図に示すように、教示速度が変更された時でも、ナメラカ位置決め形式に比べて、より教示点に近い軌跡を通過します。
各軸動作では使用できません。
独立付加軸やポジショナでは使用できません。ロボットとマルチグループで動作するときには、使用することができます。しかし、CR はロボットの動作について働きます。独立付加軸やポジショナはロボットの動作に同期して動作します。
複数のロボットがマルチグループで動作するときには、ロボットの動作は同期します。このとき,全てのロボットはコーナの範囲が指定した値以内になるように動作します。
前後の動作のなす角が 180 度に近い動作(切り返すような動作)のとき、位置決め形式 CR を指定しても意味を持たず、代わりにナメラカ 100 と同じ軌跡になります。
コーナの速度はできる限り一定に保たれますが、次のような場合、動作の先読みができない為、コーナで減速します。
動作の目標位置が位置レジスタで与えられる場合
補正量が位置レジスタで与えられる場合
動作命令でレジスタによる間接指定が使用されている場合
条件分岐(モシ、センタク)命令がある場合
タイキ命令でジカンギレ ラベルが使用されている場合
座標系命令
以下の機能と使用できます。
リモートTCP
ライントラッキング
リモート TCP 動作やトラッキング動作から通常動作に、または、通常動作からリモート TCP 動作やトラッキング動作に切り替わる部分では、コーナを定義する座標系が切り替わる為、コーナ範囲は指定した値にはなりませんが、動作はナメラカに繋がります。
直線距離指定機能
直線距離指定機能とコーナ範囲指定機能を同時に使用した場合、直線距離指定機能が優先されます。(以下の図を参照してください。)
プロセス速度
プロセスソクドxxx
プロセス速度は教示された軌跡を変えることなく、ロボットの速度のみを調整できる動作付加命令です。指定した値に関係無く同じ軌跡が維持されます。値が大きいほど、ロボットは与えられた軌跡を速く通過します。
プロセス速度高速化機能は、通常、最大教示速度を用いない滑らかな軌跡を動作するアプリケーションにおいて役立つ機能です。例えば、シーリングやウォータジェットカッティング等です。これらのアプリケーションの教示では、通常、教示位置、教示速度、位置決め形式、加速度等を微調整します。
軌跡を教示した後、速度を調節したいが、教示した軌跡は変えたくないという場合、このプロセス速度高速化機能が役立ちます。
速度の調整が必要な動作命令の行に、プロセス速度命令を付加します。
プロセスソクドが100のとき、動作速度に影響はありません。
プロセスソクドが100以上のとき、その行の動作速度は速くなり、且つ同じ軌跡が維持されます。
プロセスソクドが100以下のとき、その行の動作速度は遅くなり、且つ同じ軌跡が維持されます。
プロセスソクドが100以上のとき、ロボットの加加速度/加速度の制限に基づき、動作速度を内部的に制限します。
プロセスソクドが100以上のとき、ガツガツした動作になることがあります。このような現象を避けるためには、プロセスソクドの値を小さくして下さい。
プロセスソクドは、TPプログラム上のどの動作命令にも付加することができます。そして、全ての動作形式に適用することができます。以下のケース1〜ケース3に例を示します。
ケース1: プロセスソクド付加命令を用いないとき。プロセス速度の値が100のときと、軌跡も速度も同じになります。
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500 mm/sec ナメラカ100 3 チョクセン イチ[3] 500 mm/sec ナメラカ0
ケース2: プロセス速度の値が100より大きいとき、ケース1より速い速度で動作しますが軌跡は変わりません。
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ プロセスソクド110 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 プロセスソクド110 3 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0 プロセスソクド110
ケース3: プロセス速度の値が100より小さいとき、ケース1より遅い速度で動作しますが軌跡は変わりません。
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ プロセスソクド50 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 プロセスソクド50 3 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0 プロセスソクド50
動作性能がロボットの能力に収まるように、プロセスソクドは内部的に制限されています。このため、100より大きな値を入力してもその効果が得られず、設定したプロセス速度の値よりも小さい速度になることがあります。
制約
T1モードでは、プロセスソクドの値が100より大きい場合でも、100として扱われます。
プロセスソクドの値が100より大きいとき、TPプログラムで最大速度の動作命令において、その効果が得られないことがあります。
プロセスソクド付加命令は、ロボット速度出力機能をサポートしていません。
プロセスソクドの値が大きい場合や、とても短い区間では、プロセスソクド付加命令が無いときの軌跡を保てない場合があります。
プロセスソクド命令は協調制御をサポートしていません。
直線最高速機能
チョクセン イチ[1] サイコウソクド ナメラカ100
各軸100%の動作の場合は、何れかの軸が最高速に達しますが、直線動作の場合、教示可能な最高速度を指定しても、何れかの軸が最高速まで達するとは限りません。その為、ロボットは、動作命令で教示された速度より高速に動作することができる可能性があります。
直線最高速機能は、ロボットの少なくとも1軸が最高速に到達するように動作させる機能です。移動距離の長い動作でサイクルタイムを改善することができます。直線動作命令の速度を教示する代わりにサイコウソクドを指定することができます。
サイコウソクドは、指定された動作命令にのみ影響します。
サイコウソクドを設定した場合、ロボットは高速で動作します。部品の緩みのないよう、しっかりと固定して下さい。また、加工中の部品をしっかりと固定してください。これを怠った場合、人もしくは装置に危害を及ぼす恐れがあります。
制約
直線動作でのみ使用できます。円弧、C円弧では無効になります。
動作命令を直線動作から各軸動作に変えた場合、速度表示が100%に切り変わります。
速度指定を、サイコウソクドから他の単位に変えたとき、速度値が最高速度値に戻ります。
オーバライドが100%以外のときは、何れかの軸の速度が、最高速度にオーバライドを掛けた値になるように動作します。
先実行命令では、実行時間にばらつきが見られることがあります。
ロボットの動作が滑らかでない場合、加減速オーバライド動作付加命令を使用して加速度を緩めて下さい。
ドライランモードのとき、直線最高速機能は無効になり、ドライランモードで設定された速度値で動作します。
T1モードのときは、直線最高速機能は無効になり、T1での速度値が用いられます。
シングルステップモード(前進/後退)では、直線最高速機能は無効になり、直線動作の最高速度が使われます。
マルチグループの動作で使用すると、グループ間で動作が同期しません。
最高速度命令“チョクセン サイコウ ソクド”を用いて、サイコウソクドを指定したときの速度を変更することができます。チョクセン サイコウ ソクド命令で指定した値と直線動作の最高速度の比率で少なくとも1つの軸が動作するようになります。
(例)元の直線動作最高速度が2000mm/secの時
1. チョクセン サイコウ ソクド = 1200 2. チョクセン イチ[1] サイコウソクド ナメラカ1000
1200mm/secは、元の直線動作最高速度2000mm/secの60%です。上記プログラムの2行目では、少なくとも1つの軸が最高速の60%で動作するようになります。
直線最高速機能は以下の機能をサポートしていません。サポートされていないオプションが使用されているとき、直線最高速機能は働きません。
ライントラッキング
協調制御
リモートTCP
ロボット速度出力機能
アーク溶接動作付加命令は動作命令に付加するアーク溶接命令です。
カクジク イチ[1] 50% イチギメ ヨウセツカイシ[Wp,i] カクジク イチ[1] 50% イチギメ ヨウセツカイシ[R[i],R[j]] カクジク イチ[1] 50% イチギメ ヨウセツカイシ[Wp,V,A,...] カクジク イチ[1] 50% イチギメ ヨウセツオワリ[Wp,i] カクジク イチ[1] 50% イチギメ ヨウセツオワリ[R[i],R[j]] カクジク イチ[1] 50% イチギメ ヨウセツオワリ[Wp,V,A,sec]
ブレーク命令を使用することで、タイキ命令直前の動作がナメラカであっても、ロボットを教示位置で待機させることができます。タイキ命令直前の動作にブレーク命令を付加すると、タイキ命令の条件が満たされるまで次の動作が開始されません。その為、タイキ命令の条件が満たされるまでは教示点に向かって動作します。コーナの軌跡は、タイキ命令の待ち時間によって変化します。タイキ命令の待ち時間が長ければ長いほど、コーナは外回りします。十分待ち時間が長ければ、ロボットは教示位置で待機します。
軌跡一定制御は、以下のように動作性能を向上させる動作制御です。
軌跡一定制御
軌跡一定制御では、ロボットは静的または動的な速度オーバライドの変化にかかわらず同じ軌跡を維持します。低いオーバライドで教示とテストが行われた軌跡は、プログラムが100%のオーバライドで実行された時も維持されます。
T1/T2/AUTOモードに関する軌跡一定制御
軌跡一定制御では、ロボットはモードが異なっても同じ軌跡を維持します。例えば、T1モードで教示とテストが行われた軌跡は、AUTOモードで実行された時も維持されます。
ホールド停止後の再開と非常停止後の再開(ハンドリングツール、ペイントツール、スポットツールのみ)
ホールドボタンや非常停止ボタンによりロボットが停止した後、ロボットは停止前と同じ軌跡で実行を再開することができます。再開した軌跡の位置と姿勢は元の軌跡と同様です。
例外について制約の項を参照ください。
待機命令に関わらず軌跡一定
信号待機命令の実行時間にかかわらず同じ軌跡が維持されます。
ロボットは指定時間待機命令が終了するまで、軌跡に沿って減速します。待機命令の実行時間が長い場合、ロボットは停止するまで減速します。待機命令の実行が終了した後、ロボットは加速し、元の軌跡を再開します。
R-J3iBでの挙動を得るためには、ブレーク動作付加命令を使用します。
1: チョクセン イチ[1] 2000 mm/s ナメラカ100 ブレーク 2: タイキ DI/xx sec 3: チョクセン イチ[2] 2000mm/s ナメラカ100
この例では、3行目の動作文は待機命令の実行が終了するまで動作に影響を与えません。待機時間によって、軌跡はイチ[1]の方向にシフトします。
軌跡一定制御はホットスタートサイクルを通して維持することができません。プログラムが再開された時、ロボットは、停止前の軌跡を使用せず、停止した軌跡の教示点に向かって移動します。オリジナルパスレジューム機能が有効の時、ロボットは教示位置に向かって移動する前に停止位置に移動します。
プログラム実行を動的に変更してしまうため軌跡一定動作が保証できない命令があります。これらの命令では、(モードや待機命令、オーバライドに関して)必ずしも軌跡が変わるわけではありませんが、軌跡が変わる可能性があります。
該当する命令は以下の通りです。
座標系命令:ユーザザヒョウバンゴウ、ユーザザヒョウ、ツールザヒョウバンゴウ、ツールザヒョウ
分岐命令:モシ、センタク、ヨビダシ
その他の命令:$(システム変数名)= ...
プログラム制御命令:イチジテイシ、キョウセイシュウリョウ
マクロプログラム命令
スキップ命令
トラッキング命令
可変動作速度命令
パレタイジング命令:パレタイジング B、パレットレジ[ ]
ブレーク動作付加命令
以下の命令は、位置レジスタがロックされている時、軌跡一定となります。位置レジスタのロックが解除されている時、軌跡が変わることがあります。
位置レジスタ命令:イチレジ[]、イチレジ[ ] インクレ
位置補正命令:イチホセイ、ツールホセイ
軌跡は多くの動作のブレンドにより決定づけられます。先読み出来る動作が少ないと軌跡は変わる可能性があります。同時にブレンドする動作の数を制限することでこの問題が起こりにくくなります。
プログラミングガイドライン
軌跡一定制御の機能を最高にするためには、以下のような軌跡の教示は避けて下さい。
カソクド < 100
高いナメラカ値
負荷が大きい処理
高速
短い距離での多くの動作
短い距離の動作
通常の実行
R-30iB制御装置の動作制御では, 待機命令実行中に、可能であればロボットは待機命令の前の動作命令の軌跡に沿って減速します。待機命令の実行が長い場合、ロボットは軌跡上に停止するまで減速します。TPプログラムの命令には待機中に軌跡一定制御をサポートしない命令もあります。TPプログラム命令の制限については、40."待機命令"を参照してください。
待機命令が終了した後、ロボットは通常の動作まで加速し、残りの軌跡を実行します。軌跡は待機時間にかかわらず、同じ軌跡のままです。例えば、
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ホールド/再開
R-30iB制御装置の動作制御では、待機命令付近でTPプログラムの動作がホールド/再開された時でさえ、可能であれば待機時間にかかわらず同じ軌跡が保たれます。
ケース1: 待機命令の前の動作文でのホールド/非常停止
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
カーソル → 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ケース2: 待機命令でのホールド/非常停止(動作文でない行にカーソル)
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
カーソル → 4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ケース3: 待機命令の後の動作文でのホールド/非常停止
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
2 チョクセン イチ[2] 500 mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
4 タイキ DI[1] = オン
カーソル → 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ホールド/非常停止後のシングルステップ実行
ホールド/非常停止後のシングルステップ前進実行
シングルステップでない実行でホールド/非常停止が起こったとします。ホールド/非常停止が起こった後、シングルステップで前進実行すると、(1)最初のシングルステップ実行:ロボットは停止姿勢まで移動し(ジョグ送りをしていなければ移動はないかもしれませんが)、「CPMO-069 ステップでは再開できません(G:1)」が発生します。(2)再度のシングルステップ実行:ロボットはカーソルのある動作文の目標位置に移動します。
シングルステップ実行は(前進、後退ともに)ロボットの現在位置ではなく、TPプロプログラムでのカーソルの位置に関係します。ホールドまたは非常停止の後、(特にT1モードやオーバライドが低い場合)ロボットの現在位置はTPプログラムのカーソルのある教示位置から離れている可能性があります。ホールド/非常停止後のシングルステップ実行では、ロボットは元の軌跡ではなくカーソルが示す教示位置に移動します。シングルステップ実行での軌跡に障害物があると衝突が起こります。
ケース1: 待機命令の前の動作文でのホールド/非常停止
シングルステップ前進実行はロボットをカーソルのある動作文の目標位置に移動します。
ホールド/非常停止の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
カーソル → 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
最初のシングルステップ前進実行の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
カーソル → 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
2回目のシングルステップ前進実行の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
カーソル → 2 チョクセン @イチ[2] 500mm/sec CNT100
3 レジ[1] = 1
4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ケース2: 待機命令でのホールド/非常停止(動作文でない行にカーソル)
シングルステップ前進実行はロボットを待機命令の前の動作文の目標位置に移動します。
ホールド/非常停止の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
カーソル → 4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
最初のシングルステップ前進実行の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
カーソル → 2 チョクセン イチ[2] 500 mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
2回目のシングルステップ前進実行の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ
カーソル → 2 チョクセン @イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100
3 レジ[1] = 1
4 タイキ DI[1] = オン
5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
この例にみられるように、前の動作文がコーナー位置を定義しているので、ロボットの位置はイチ[3]よりもイチ[2]に近い傾向があります。
ケース3: 待機命令の後の動作文でのホールド/非常停止
シングルステップ前進実行はロボットをカーソルのある動作文の目標位置へ移動します。
ホールド/非常停止の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン カーソル → 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
最初のシングルステップ前進実行の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン カーソル → 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
2回目のシングルステップ前進実行の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン カーソル → 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ホールド/非常停止後のシングルステップ後退実行 シングルステップでない実行でホールドまたは非常停止が起こったとします。ホールド/非常停止が起こった後、シングルステップで後退実行すると、ロボットは前の動作文の目標位置に戻ります。
ケース1: 待機命令の前の動作文でのホールド/非常停止
シングルステップ後退実行はロボットを前の動作文の目標位置に移動します。
ホールド/非常停止の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ カーソル → 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
後退実行の後
カーソル → 1 カクジク @イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ケース2: 待機命令でのホールド/非常停止(つまり、動作文でない命令にカーソル)
シングルステップ後退実行は2つ前の動作文の目標位置に移動します。(シングルステップ前進実行により、1つ前の動作文の目標位置に移動します。)
ホールド/非常停止の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 カーソル → 4 タイキ DI[1] = オン 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
後退実行の後
カーソル → 1 カクジク @イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
ケース3: 待機命令の後の動作文でのホールド/非常停止
シングルステップ後退実行はロボットを前の動作文の目標位置へ移動します。
ホールド/非常停止の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ 2 チョクセン イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン カーソル → 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
後退実行の後
1 カクジク イチ[1] 50% イチギメ カーソル → 2 チョクセン @イチ[2] 500mm/sec ナメラカ100 3 レジ[1] = 1 4 タイキ DI[1] = オン 5 チョクセン イチ[3] 500mm/sec ナメラカ0
カクジク イチ[1] 50% イチギメ キョウチョウ
協調制御では複数の動作グループの動作を記述します。協調制御を使用すると、複数の動作グループがお互いが相対的に同じ位置を保持するように同時に動作します。
動作文に指定された動作速度は協調制御の相対速度です。協調制御は直線動作、円弧動作、C円弧動作で使用可能です。
この機能を使うとTCPではなくフランジ中心点を直線的に動作することができます。姿勢変化が無い場合、TCPは弧のような丸い軌跡を描きます。下図で動きを示します。
この機能は位置重視の用途(マテハン等)に適していますが、軌跡重視の用途(シーリング、塗装等)には適しません。
大抵のロボットは手首軸が基本軸より速く動くことが可能です。この機能を姿勢変化の大きい動作に適用することで、動作時間を短縮することができます。
この機能には以下のような制約があります。
ロボット速度出力機能には対応しません。フランジ中心点の速度が出力されます。
軌跡一定機能が必要です。
ツール座標はフランジに対して平行である必要があります。
協調制御機能やリモートTCP機能と同時にロードできません。
ピックツール、ハンドリングツール、パレットツールのみ対応しています。他のアプリケーションはサポートしません。
フランジ直線命令は動作文が直線の場合のみ表示されます。下図のようにフランジ直線命令を選択し付加してください. (iPendantとレガシイ教示操作盤の例を示します。)
カクジク イチ[1] 50% イチギメ インクレ
インクレメンタル動作は、目標位置を前の位置からのインクレメンタル量で指定します。インクレメンタル動作を使用するためには、以下を実行します。
動作文でインクレメンタル動作を使用する場合、命令の中の位置または位置レジスタは初期化されます。プログラム中で同じ位置や位置レジスタを使用している個所も初期化されます。
位置や位置レジスタを初期化したくない場合には、インクレメンタル動作を含む動作文では新しい位置や新しい位置レジスタを使用して下さい。プログラム内の他の個所で同じインクレメンタル動作を使用したい場合は、動作文全体をコピーして、使用したい個所に貼り付けてください。
動作文を追加します。インクレメンタル動作は教示しません。
別の動作文を追加します。インクレメンタル動作を教示します。
追加した動作文の右にカーソルを移動してください。
F4[選択]を押します。
「インクレメンタル」を選択します。「位置データ(イチ[n])が初期化されました」というメッセージが表示されます。
カーソルを命令の位置番号に移動し、F5「位置」を押します。位置データが表示されます。位置データの各要素は初期化されています。図74."位置データ表示"を参照ください。
図74.位置データ表示
イチ[2] UF:0 UT:1 形態: N 0 0 X ******.*** mm W ******.*** deg Y ******.*** mm P ******.*** deg Z ******.*** mm R ******.*** deg
マルチグループや付加軸が設定されている場合、動作文を実行するためには付加軸やマルチグループの位置データに適切な値を入力する必要があります。
それぞれの位置要素にカーソルを移動し、ロボットのインクレメンタル移動量を入力します。位置を変更しない位置要素には0を入力します。
カクジク イチ[1] 50% イチギメ チカマワリ
近回り動作は各軸動作や手首各軸動作で使用される動作です。手首軸の回転数を無視して、動作範囲内でできるだけ回転量の少ない動作を実現します。回転量の少ない動作が必要な時、各軸動作や手首各軸動作で「チカマワリ」を指定します。
この機能は回転量の少ない動作とするための正しい目標位置の回転数がわからない場合に役立ちます。
各軸動作や手首各軸動作を教示した直線動作に近回り動作を使用した時、手首軸のいずれかが軸範囲制限を超える場合、
ドウサ-330 MROT Limit Warn (G:1, A:20 Hex)などのワーニングが発生します。
その軸を反対方向に移動して、軸範囲内で回転量が最小の動作を実現します。
例えば、軸範囲の上限と下限が270°と-270°で、開始位置と目標位置がそれぞれ260°と-80°の場合、回転量を最小にする動作は、260°から280°への動作となります。
280°と-80°は同じ位置です。
しかしながら、この動作では軸範囲の上限を超えるため、軸範囲制限のエラーとなります。この場合、ワーニングが発生し、軸は260°から-80°に軸角度が340°変化するように移動します。図75."軸範囲内での最短動作"を参照ください。
近回り動作には以下の制約があります。
近回り動作では、各軸動作、手首各軸動作での目標位置の位置形式が直交形式(XYZWPR)である必要があります。目標位置の位置形式が各軸形式の場合、近回り動作が指定されていても、指定された各軸位置に移動します。
近回り動作命令が教示された動作文で、教示位置の位置形式が直交形式(XYZWPR)の場合、実際の各軸位置は教示された各軸位置と異なる場合があります。その結果、後退実行の動作は前進実行と同じにはならないことがあります。以下のようなTPプログラムで発生します。
カクジク イチ[1] 100% イチギメ カクジク イチ[2] 100% イチギメ チカマワリ カクジク イチ[3] 100% イチギメ
実際にイチ[2]で到達する各軸位置が(回転数の点で)教示位置と異なる場合、イチ[3]からイチ[2]の後退実行の動作は、イチ[2]からイチ[3]への前進動作とは異なります。
近回り動作命令の教示された動作文への後退実行の動作には十分注意して下さい。
イチホセイ ジョウケン イチレジ[x]
カクジク イチ[1] 50% イチギメ イチホセイ
位置補正は、目標位置に教示された位置情報を、位置レジスタに指定された補正量で変更するために位置補正条件命令とともに使用します。位置補正条件命令は、補正量が収納されている位置レジスタを定義します。位置補正条件命令は、位置補正命令の前に教示する必要があります。
上記の位置補正条件命令では、位置レジスタ[x]の補正量を使用します。位置補正命令は位置データに、イチ[1]の姿勢と(イチ[1] + 位置レジスタ[x])の位置をセットします。位置補正条件が設定されると、位置補正が行われる時はいつも設定された補正量が使用されます。位置補正命令の詳しい情報は27."位置補正条件/座標系命令"を参照ください。
カクジク イチ[1] 50% イチギメ イチホセイ,イチレジ[x]
イチホセイ、イチレジ[x]命令は位置レジスタ[x]に指定された補正量で位置データを変更します。補正量は直接位置補正命令が教示されている動作文だけで有効です。他の動作文には適用されません。補正のユーザ座標系番号は現在選択されているユーザ座標系番号です。
補正計算は位置補正命令で指定された位置レジスタの形式に依存します。
もし位置レジスタが直交形式であったら、位置を補正するために、位置レジスタの各要素を位置データの各要素に加えます。位置データが直交形式でない場合、補正計算する前に内部的に位置データの形式を直交形式に変換します。
もし、位置レジスタが各軸形式であったら、位置を補正するために、位置レジスタの各要素を位置データの各要素に加えます。位置データが各軸形式でない場合、補正計算する前に内部的に位置データの形式を各軸形式に変換します。位置レジスタが各軸形式であったら、補正にユーザ座標系は使用しません。
カクジク イチ[1] 50% イチギメ イチホセイ,イチレジ[x] インクレ カクジク イチ[1] 50% イチギメ イチホセイ インクレ
位置補正命令と一緒にインクレメンタル命令が教示されている場合、位置と位置レジスタは、直交形式または各軸形式のどちらか同じ位置形式でなくてはなりません。インクレメンタル命令の教示された動作命令に位置補正を指定する時には、位置データと位置レジスタの位置形式が同じであることを確認してください。例えば、位置レジスタが各軸形式であれば、位置データも各軸形式でなくてはなりません。
カクジク イチ[1] 50% ナメラカ100 パス
パス命令は連続した位置の間でロボットの加速度を増加させることができます。ナメラカ位置決め形式を使用している動作文でのみパス命令を使用することができます。
距離の短いナメラカ動作が短く連続している動作で、各位置間の加速度を増加させるために各命令でパス命令を使用します。プログラムの実行にかかる時間を短くすることができます。
パス命令が教示された動作命令で、ぎくしゃくした動きや振動が発生する場合には、パス命令を削除してください。
チョクセン イチ[1] 100mm/sec ナメラカ100 リモートツール
リモートTCPは、ツールがワークセル内に固定され、ロボットがワークを扱うシステムにおいて、ロボットの姿勢を制御することができます。ジョグやプログラミングに使用する座標系は、ユーザ座標系です。
リモートTCPを使用するロボットの例として図76."リモートTCP"を参照ください。ツールが固定され、ロボットがワークを持っています。
制御装置に協調制御のオプションがロードされている場合、リモートTCPは有効になりません。すでにリモートTCP命令が教示されているプログラムを実行すると、「RTCP-014 リモートツールとキョウチョウ 併用不可」のアラームが発生します。制御装置への協調制御のロードはリモートTCPを完全に無効にします。
リモートTCPジョグは以下のオプションと一緒に有効にはなりません。
TIGアーク長制御機能
協調制御
複数台ロボット制御
スクラッチスタート
アークセンサ機能
多層盛り機能
タッチセンサ機能
ウィービング機能
ライントラッキング機能
特異点回避機能
リモートTCPを使用するとき、最初にリモートTCP座標系として使用するユーザ座標系を設定する必要があります。動作命令にリモートTCP命令(リモートツール)を追加する時、使用するユーザ座標系番号を指定するためにユーザザヒョウケイバンゴウ命令を使用してください。指定しない場合には、現在選択されているユーザ座標系が標準で使用されます。
ユーザザヒョウケイバンゴウ命令については27."位置補正条件/座標系命令"を参照ください。
リモートTCP命令が教示された動作文では、指定された速度はワークとツールの間の相対速度です。
図77."リモートTCP動作例"では、リモートTCPをどのように使用するかを示しています。
リモートTCPは以下のアークツールの機能をサポートしていません。
ウィービング機能
タッチセンサ機能
アークセンサ機能
TIGアーク長制御機能
MIG EYE
多層盛り機能
複数グループのプログラム
これらの機能がロードされている時にリモートTCPを教示しようとすると、「RTCP-015 リモートツールと併用不可の動作」のアラームが発生します。
以下の例を参照ください。
1. ウィーブ サイン[1] 2. チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 3 チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 リモートツール 4. ウィーブ オワリ
3行目でアラームが発生します。
1. サーチカイシ[1] PR[2] 2. チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 3 チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 リモートツール サーチ[X] 4. チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 5 チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 リモートツール サーチ[Y] 4. ウィーブ オワリ
3行目と5行目でアラームが発生します。
次は複数グループのプログラムの例です。
1. チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 2. チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 3 チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ100 リモートツール
3行目でアラームが発生します。
1. トラッキング アークセンサ[1] 2. チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ1100 3 チョクセン イチ[] 8 mm/sec ナメラカ1100 リモートツール 4. トラッキング オワリ
3行目でアラームが発生します。
カクジク イチ[1] 50% イチギメ サーチ[ ]
サーチ命令はワークを検出するためにロボットを(正方向または負方向のx、y、z方向に)移動します。x、y、zベクトルはタッチセンサ条件に設定されたタッチセンサ座標系によって定義されます。ワークに接触した時、ロボットの現在位置が記録されます。サーチ命令はサーチ開始命令とサーチ終了命令の間で使用する必要があります。
タッチセンサはオプション機能のため、インストールされていない場合があります。タッチセンサ機能がインストールされていない場合、動作付加命令のメニューに「サーチ」が表示されません。
動作の速度と方向はサーチ開始命令に指定されたタッチセンサ条件に設定された値によって制御されます。動作と速度は表示されているものとは異なる可能性があります。
スキップジョウケン [I/O] = [値]
カクジク イチ[1] 50% イチギメ スキップ, ラベル[3]
スキップ命令は予め定義されたスキップ条件が真であるかどうかに基づいてプログラム実行の流れを変えます。スキップ条件命令はI/O状態を定義します。スキップ命令が教示された動作文の実行は以下のようにスキップ条件の状態が影響します。
スキップ条件が成立すると、スキップ命令が教示された動作文は終了し、次のプログラム命令が実行されます。
スキップ条件が成立しないと、スキップ命令が教示された動作文の実行が続けられます。ロボットが目標位置に到達し、条件が成立していないと、プログラムはラベル(ラベル[x])に分岐します。
分岐については、16."分岐命令"を参照ください。スキップ条件命令については、36."スキップ条件命令"を参照ください。スキップ命令の例について図78."スキップ命令の例"を参照ください。
先実行命令
カクジク イチ[1] 50% イチギメ サキジッコウ 2.0 sec, ヨビダシ (プログラム)
後実行命令
カクジク イチ[1] 50% イチギメ アトジッコウ 2.0 sec, ヨビダシ (プログラム)
通常、TPプログラム実行時には、動作文に続く命令は動作が完了するまで実行されません。先実行命令は、動作命令の完了より指定された時間だけ前、または後に呼び出すプログラムを指定することができます。図79."先実行命令"を参照ください。
ツールホセイ ジョウケン イチレジ[x] (ツールザヒョウ[1])
カクジク イチ[1] 50% イチギメ ツールホセイ
ツール補正は、目標位置に教示された位置情報を、位置レジスタに指定されたツール補正量で変更するためにツール補正条件命令とともに使用します。ツール補正条件命令は、補正量が収納されている位置レジスタと、ツール補正に使用するツール座標を定義します。ツール補正条件命令は、ツール補正命令の前に教示する必要があります。
ツール補正条件命令はツール補正命令で使用される補正条件を指定します。対応するツール補正命令が実行される前にツール補正条件命令を実行してください。ツール補正条件を指定した後は、プログラムが終了するか次のツール補正条件命令が実行されるまで効果があります。
ツール補正条件を指定する時、以下の点にご留意ください。
位置レジスタは目標位置のシフト量だけでなく、シフトする方向を指定します。
補正条件の指定にはツール座標系が使用されます。
ツール補正命令が教示されている動作文を教示、または位置修正する時、補正量が差し引かれた位置を教示することができます。
ツール補正命令が教示されている動作文を教示、または位置修正する時、以下の質問が表示されます。
ツール補正量を差引て位置修正しますか? 位置データからツール補正量を差し引いて位置教示する場合は、「はい」を押してください。現在位置を位置データとして取り込むためには「いいえ」を押してください。
ツール補正量の入っているイチレジの番号: ツール補正条件命令で指定された位置レジスタ番号を入力してください。
補正するツール座標系番号: 補正を行うツール座標系の番号を入力してください。
数値キーを使って位置データを変更した場合、補正量を差し引かずに位置データが教示されます。
補正量を差引いて位置教示を行っても、以下の場合には現在位置が取り込まれます。
指定された位置レジスタが未初期化であった場合。
ツール補正命令無視が有効の場合。
ツール補正命令無視を有効にすると、位置データに現在位置が教示され、エラーメッセージは表示されません。ツール補正を実行してもロボットは教示位置に動作します。
ツール補正命令実行中にロボットを一時停止し、補正量を変更した場合、再開動作で変更した補正量が使用されます。ツール補正条件命令により指定されている位置レジスタ番号を変更しても、変更した番号は使用されません。
後退実行で、ロボットは補正量が適用された位置に移動します。これは次に説明する直接ツール補正命令でも適用されます。
カクジク イチ[1] 50% イチギメ ツールホセイ, イチレジ[2]
直接ツール補正命令は位置レジスタ番号を指定します。ロボットは、ツール補正条件命令に指定されたツール補正条件を無視して、指定された位置レジスタ番号に格納されている補正量に従って移動します。現在選択されているツール座標系が使用されます。
ツール補正位置レジスタを指定する時、以下の点にご留意ください。
直接ツール補正が教示されている動作文を教示、または位置修正する時、補正量が差し引かれた位置を教示することができます。以下の質問が表示されます。
ツール補正量を差引て位置修正しますか? 位置データからツール補正量を差し引いて位置教示する場合は、「はい」を押してください。現在位置を位置データとして取り込むためには「いいえ」を押してください。
数値キーを使って位置データを変更した場合、補正量を差し引かずに位置データが教示されます。
補正量を差引いて位置教示を行っても、以下の場合には現在位置が取り込まれます。
指定された位置レジスタが未初期化であった場合。
直接ツール補正命令で位置レジスタの番号が未指定の場合。
ツール補正命令無視が有効の場合。
ツール補正命令無視を有効にすると、位置データに現在位置が教示されます。(メッセージは表示されません。)ツール補正を実行してもロボットは教示位置に動作します。
例として図80."ツール補正命令"を参照ください。
概要
トーチ角表示機能は、溶接トーチの狙い角と保持角を表示する方法を提供します。本機能は、トーチ角を測定する必要をなくし、溶接トーチ角の検査を手助けし、溶接品質の最適化をサポートします。
トーチ角を取得する2つの主要な方法があります。
TPプログラム実行中、角度は連続的に実行中の動作と座標系の定義に基づいて計算されています。結果のデータはシステム変数に設定されており、編集画面や状態画面で表示することができます。
TPプログラムを実行しなくても、それぞれのTPプログラムについての報告がロボットウェブページに作成されます。
トーチ角表示機能は以下を含む様々なアプリケーションで使用できます。
アーク溶接
プラズマ切断
ハンドリングツール レーザ切断
ディスペンスツール 塗布ガン
トーチ角表示機能は複数台ロボットをサポートします。また、以下を含む多くのオプションと両立することができます。
タッチセンサ
アークセンサ
多層盛り機能
協調制御
軌跡一定制御
以下の項では、これらの項目を扱っています。
トーチ角の定義
参照点の教示
プログラミングでの検討項目と制約
トーチ角ウェブページ表示
トーチ角状態表示
トーチ角表示機能システム変数
トーチ角グラフィック状態表示
トーチ角の定義
トーチ角は狙い角と保持角により指定されます。
保持角
保持角の定義:トーチ軸と溶接方向によって決定する平面で、トーチ軸と溶接方向の垂線との間の90°より小さい角度
以下に示す2つ例では、溶接トーチがT継手溶接のアーク開始位置に近づいています。両方の例ともに、保持角は15°です。左側の図では、トーチは溶接方向に向いていて、これは前進角です。右側の画面では、トーチは溶接の進行方向とは逆方向に向いていて、これは後退角です。
曲面やパイプの溶接では。溶接方向は溶接点での溶接経路に対する接線です。
狙い角
狙い角の測定に2つの方法があります。1つは垂直なXZ平面を参照するもので、もう1つは水平なXY平面を参照するものです。X軸は溶接軸に沿ったベクトルとして定義されます。Z方向は教示されたTA_REFの参照点によってか、またはユーザ座標系のZ軸によって定義されます。Y軸はX軸とZ軸に垂直です。
狙い角(XZ)の定義:トーチ軸と、ワークに垂直な面法線ベクトルによって定義される平面との間の90°より小さい角度。平面でない面上の点での面法線は、その点での接平面に垂直なベクトルとなります。
狙い角(XY)の定義: 90°− 狙い角(XZ)
この図はT継手の溶接のアーク開始位置に近づく溶接トーチを示しています。保持角は15°の前進角です。狙い角(XZ)は30°です。狙い角(XY)は60°(90−30)です。
この例では参照点は必要ありません。ユーザ座標系の使用で十分です。
トーチ角状態表示では、「Work Ref」のファンクションキーを使って、XZとXYの定義の切り替えができます。この表示については後述します。
参照点の教示
ワークがユーザ座標系と合っていない場合は、参照点を教示し、TPプログラムの中でそれを指定することが役立ちます。ワークに対応して狙い角を計算することができます。
参照点はTA_REF命令を使って、TPプログラムに記録することができます。また、位置レジスタに記録してTPプログラムでTA_REF PR[]命令で参照することもできます。
以下の図では、角継手の外側での垂直降下溶接を示しています。狙い角は約45°で、保持角は約15°の前進角です。狙い角を ワークに相対的に計算されることを確実にするために、参照点は以下のようにワークの法線が記録されます。
参照点は狙い角を計算するために使用されます。保持角の計算には使用されません。
TA_REF、またはTA_REF PR[]は各種の溶接継ぎ手をサポートするために各溶接点に追加できます。
ツール座標系のZ+がトーチ方向に対応する様にツール座標を教示する必要があります。
操作4.TA_REF命令での参照点記録
動作文の最後にカーソルを移動します。
F4[選択]を押し、「TA_REF」を選択します。図84."トーチ角表示 TA_REF命令"に示すように、「トーチを参照姿勢にして記録を実行してください」というメッセージが表示されます。
トーチ姿勢を調整するために十分な空間のある領域にロボットを移動します。
トーチがワークに垂直となるか、参照軸に合うように調整します。すなわち、狙い角0°とします。
トーチ角参照点を記録するために、シフトキーを押しながら、F3「記録」を押します。
図84.トーチ角表示 TA_REF命令
P[Travel dg G1] 1/2
1:カクジク @イチ[1: ] 100% イチギメ
: TA_REF
[オワリ]
トーチを参照姿勢にして記録を実行してください
移動 記録 [選択]
プログラミングでの検討項目と制約
トーチ角表示機能を使用する際には、以下の点を考慮して下さい。
ツール座標系をツール座標系のZ+がトーチ方向になるように教示する必要があります。
TPプログラムで2台のロボットまでの参照点を記録するためにTA_REF命令を使用することができます。TA_REF PR[]命令はプログラムに2台のロボットより多いロボットが存在する時に必要とされます。
協調制御が指定された場合、TA_REF PR[]命令は先導グループと追従グループの両方の参照点を記録するために必要とされます。
位置レジスタはユーザ座標系のデータを持っていません。TA_REF PR[]命令はプログラム実行中に参照点を計算するために現在有効なユーザ座標系を使用します。
トーチ角表示参照点は、プログラムが終了している時、ユーザ座標系が使用されます。
参照点が記録されていない場合、TA_REF命令またはTA_REF PR[]命令が教示された動作文で、実行時アラーム「未初期化のTA_REF参照姿勢」が発生します。
現在の溶接動作にトーチ角表示機能の命令(TA_REF命令またはTA_REF PR[]命令)がない場合、プログラムの中のTA_REF命令またはTA_REF PR[]命令によって定義された以前の参照点が使用されます。プログラムでTA_REF命令またはTA_REF PR[]命令のどちらも実行されていない場合は、ユーザ座標系のアプローチベクトルが参照点を定義するために使用されます。
サブプログラムはメインプログラムから参照点を引き継ぎます。
サブプログラムの中で定義された参照点は実行がメインプログラムに戻っても有効です。
トーチ角の定義
操作5.TA_REF PR[]命令での参照点記録
動作文の最後にカーソルを移動します。
F4[選択]を押し、「TA_REF PR[]」を選択します。図85."トーチ角表示 TA_REF PR[]命令"に示すように、「イチレジ番号を入力してください」というメッセージが表示されます。
位置レジスタ番号を入力します。
トーチ姿勢を調整するために十分な空間のある領域にロボットを移動します。
トーチがワークに垂直となるか、参照軸に合うように調整します。すなわち、狙い角0°とします。
データ:位置レジスタ画面を表示し、カーソルを指定した位置レジスタに移動します。
トーチ角参照点を記録するために、シフトキーを押しながら、F3「記録」を押します。参照点を記録した後、記録した位置を確認するためにシフトキーとF2「移動」を使用することができます。
図85.トーチ角表示 TA_REF PR[]命令
P[Travel dg G1] 1/2 1:カクジク @イチ[1: ] 100% イチギメ : TA_REF PR[...] [オワリ] イチレジ番号を入力してください 直接指定 間接指定 [選択]
パイプ溶接では、溶接方向は溶接点での溶接経路に対する接線です。
トーチ角ウェブページ表示
トーチ角表示機能がロードされている時、制御装置のメインウェブページで新しいリンク「TP Torch Angle files available on MD:」が有効になります。
アスキー形式でのトーチ角表示は制御装置にある各TPプログラムについて作成されます。表の2列目にリストされているファイル名をクリックするとウェブページに表示されます。
アスキー形式のファイルはタブで区切られています。
トーチアングル表示ファイルは以下の情報で構成されています。
行番号
位置番号
狙い角
保持角
グループ番号
位置コメント
最も右の列は位置コメントです。この列は表示を右にスクロールすることで見ることができます。
トーチ角ウェブページは教示位置の静的な狙い角と保持角を表示します。動作の混合により、値が実行時の表示と異なる可能性があります。
ロボットにウェブサーバがインストールされていると、標準のブラウザを使ってリモートコンピュータからロボットウェブページにアクセスすることができます。ウェブサーバは「インターネット機能」オプションに含まれます。
リモート操作でトーチ角表示を表示する時、ブラウザで表示内容を「すべて選択」して「コピー」することができます。その後、データをファイルに保存することができます。ファイルは図89."表計算ソフトでのトーチ角表示データ"に示すように、表計算ソフトに取り込むことができます。
編集画面での動作状態表示
動作状態表示は動作文の中の各種動作関連項目の現在値を動的に表示します。
動作状態表示は保持角のための表示モード19と狙い角のための表示モード20をサポートします。これらの2つのモードは現在実行中の動作文に関するデータのみ表示します。
動作状態表示を有効にするためには、システム変数$MNDSP_MST.$DISP_ENBLをTRUEに設定してください。
グループ1の保持角を表示するためには、システム変数$MNDSP_MST.$MODE_GRP[1]を19に設定してください。
グループ1の狙い角を表示するためには、システム変数$MNDSP_MST.$MODE_GRP[1]を20に設定してください。
プログラム上部の見出しは、P[Travel dg G1]です。これは、動作状態表示が保持角のためにモード19に設定されたこと、角度が「°」の単位で表示されていること、グループ1の角度であることを示します。グループ1は選択されているジョググループです。12.952の保持角がプログラムの12行目に表示されています。負の符号は前進角であることを示します。
プログラム上部の見出しは、P[WorkXZ dg G1]です。これは、動作状態表示が狙い角のためにモード20に設定されたことを示します。「XZ」は選択された平面がXZ平面であることを示します。「dg」は角度が「°」の単位であることを示します。
プログラムは12行目で一時停止しています。この点での狙い角は30.868°です。角度の後の文字「R」は(溶接方向でトーチの後ろから見て、)トーチが鉛直の右側であることを示します。トーチが鉛直の左側である場合には、角度の後に文字「L」が付加されます。
トーチ角表示機能システム変数
トーチ角表示機能オプションがロードされ、有効になっていて、TPプログラムが実行されていると、トーチ角が計算されて、システム変数($TOR_ANG_SYS[].$TRAVEL_ANG、$TOR_ANG_SYS[].$WORK_ANG)に格納されます。これらの変数はトーチ角状態表示画面でのグラフィック表示を更新するための入力として使用されます。
$WORK_ANGの値は、-180°から180°まで変化できることにご注意ください。$CMN_WORKANGの値は狙い角のXY基準面が選択された場合、0°から90°までしか変化しません。
トーチ角状態メニュー
トーチ角状態メニューは選択されたジョググループがロボットであれば、選択されたジョググループの現在のトーチ角を表示します。狙い角と保持角のグラフィック表示と数値表示があります。狙い角が鉛直軸の右か左かを示し、保持角が前進角か後退角かを示します。
プログラムが終了している状態では、トーチアングルの表示は無効になります。トーチがZ軸と一致している状態が表示され、それぞれの角度表示の下には、「未実行」と表示されます。
トーチ角状態メニューを表示するためには、
画面選択キーを押します。
「状態」を選択します。
F1[画面]を押します。
「トーチ姿勢表示」を選択します。
XZとXYの基準面を切り替えるためには、F3「Work Ref」を使用して下さい。
チョクセン イチ[1] 50% イチギメ シセイナシ
手首各軸動作命令は直線、円弧、C円弧動作で使用されます。動作中に手首の姿勢を変更し、特異点による手首の反転動作を起こさずに、教示された軌跡に沿ってツール先端点を移動します。
姿勢補間の手首各軸動作では、3つの手首軸が各軸補間されます。残りの軸はツール先端点が直線で動作するように補間されます。開始点と終了点での姿勢は教示された通りですが、各軸補間のため、移動中の姿勢は予測できません。
手首各軸動作命令は直線動作に付加され、ロボットの基本軸(特にJ2とJ3)による動作は手首各軸動作命令のない動作と大きく異なる可能性があります。