操作記録機能は、 教示操作盤操作とアラームを自動的にバッファに記録します。それらは、教示操作盤の操作履歴メニューで表示したり、テキストファイルとして保存したりできます。一部の操作には、イベントの分析に役立つよう、画面イメージを含めることができます。
システムは複数の操作記録ブック(操作を記録するためのバッファ)を持つことができ、ユーザは各操作記録ブックに記録するイベントを指定できます。この方法により、頻繁に起きるイベントとそうでないイベントを別々の操作記録ブックに記録できます。
操作記録ブックがいっぱいのとき、新しいレコードが追加される場合は、最も古いレコードが削除されます。操作記録ブックに格納できるイベントの数は、すべてのイベントが同じサイズであるとは限らないので、保存されるイベントのタイプによって異なります。操作記録ブックのサイズを変更するには、システム変数を設定します。
操作記録機能によって記録できるすべてのイベントを、以下に示します。
個々のイベントの記録動作は、「パラメータ」欄に示されているシステム変数を設定することにより、無効にできます。それが0の場合、イベントは記録されません。一部のイベントの記録動作はデフォルトで無効にされています。システム変数が0でない場合、その値はイベントの記録先となる操作記録ブック番号を示します。
一部のイベントには画面イメージがあります。この情報は、レコードの分析に役立ちます。しかし、画面イメージは操作記録ブック内のスペースを大量に使用します。画面イメージの記録動作は「画面の保存」欄に示されているシステム変数を設定することにより、無効にできます。
表1. 操作記録ブックに記録されるイベント
メッセージ | イベント | パラメータ (標準値) | 画面の保存 (標準値) |
---|---|---|---|
アラーム履歴 | アラームが発生すると、アラームメッセージが記録されます。このレコードは、アラーム履歴メニューのレコードと同じものです。記録するアラームを選択するために、「フィルタリング」機能が提供されています。 | $LOGBOOK. $LOG_ER (1) | なし |
'x'が入力されました | 値またはワードが入力されると、これが記録されます。メッセージ内の'x'は、入力された値またはワードです。このイベントについて画面イメージが有効である場合は、前の値が入ります。値は、たとえ無効であっても記録されます。入力をキャンセルした場合、それは記録されません。 | $LOGBOOK. $LOG_ENT (1) | $LOGBOOK. $IMG_ENT (TRUE) |
'x'が選択されました 'x'が'y'メニューで選択されました |
メニュー項目が選択されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、選択された項目です。メニューにタイトルがある場合、メッセージ内の「y」はそのタイトルを示します。この入力について画面イメージが有効である場合は、メニューを開く直前の画面を示します。 | $LOGBOOK. $LOG_SEL (1) | $LOGBOOK. $IMG_SEL (TRUE) |
'x'が'y'ウィンドウから選択されました | 警告ウィンドウで項目が選択されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、選択された項目です。メッセージ内の「y」は、警告ウィンドウ内のメッセージの冒頭です。このイベントについて画面イメージが有効である場合は、警告ウィンドウを示します。 | $LOGBOOK. $LOG_WIN (1) | $LOGBOOK. $IMG_WIN (TRUE) |
'x'が画面メニューから選択されました 'x'が補助メニューから選択されました |
画面選択キーまたは補助キーによって項目が選択されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、選択された項目です。 | $LOGBOOK. $LOG_MENU (1) | なし |
手動操作送り座標系ツール 'x' 手動操作送り座標系ユーザ'x' 手動操作送り座標系ジョグ 'x' 手動操作送り座標系グループ'x' 手動操作送り座標系ロボット 手動操作送り座標系付加軸 |
手動送り座標系の操作は、このメッセージを使用して記録されます。 | $LOGBOOK. $LOG_JGMN (1) | なし |
画面変更'x' | メニューが変更されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、新しいメニューのタイトルです。[形態]や[詳細]などのサブメニューの変更は記録されません。 | $LOGBOOK. $LOG_MNCHG (1) | なし |
'x'が押されました | キーが押されると、このメッセージがキー名と一緒に記録されます。キーが放されたことは記録されません。キーが押されたときにシフトキーが押されていると、キー名に「シフト」が追加されます(一覧、編集、データは除く)。各キーは次のようにグループ化されており、ユーザは各グループの記録動作を無効にできます。 | ||
F1, F2, F3, F4, F5 | $LOGBOOK. $LOG_FNKEY (1) | $LOGBOOK. $IMG_FNKEY (TRUE) | |
+X(J1), -X(J1), +Y(J2), -Y(J2), +Z(J3), -Z(J3), +X^(J4), -X^(J4), +Y^(J5), -Y^(J5), +Z^(J6), -Z^(J6) |
$LOGBOOK. $LOG_JGKY (1) | なし | |
一覧、編集、データ | $LOGBOOK. $LOG_PRGKEY (1) | なし | |
ユーザ1、ユーザ2、ユーザ3、4、ユーザ5、ユーザ6、ユーザ7 | $LOGBOOK. $LOG_UFKY (1) | なし | |
+%, -%, 手動送り座標系 | $LOGBOOK. $LOG_OVRKY (1) | なし | |
前進, 後退 | $LOGBOOK. $LOG_FWDKY (1) | なし | |
ホールド | $LOGBOOK. $LOG_HLDKY (1) | なし | |
ステップ | $LOGBOOK. $LOG_STPKY (1) | なし | |
前戻 | $LOGBOOK. $LOG_PRVKY (1) | なし | |
入力 | $LOGBOOK. $LOG_ENTKY (1) | なし | |
項目選択 | $LOGBOOK. $LOG_ITMKY (1) | なし | |
アラーム解除 | $LOGBOOK. $LOG_RSTKY (1) | なし | |
オーバライド x% | オーバライドが変更されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、新しいオーバライド値です。これは、あらゆる方法によるオーバライドの変更をすべて記録します。たとえば、「+%」キー、教示操作盤有効、プログラムのオーバライド命令 | $LOGBOOK. $LOG_OVR (1) | なし |
各軸座標 ユーザ座標 ツール座標 ジョグ座標 パス座標 |
座標が変更されると、これが記録されます。これは、あらゆる方法による座標変更をすべて記録します。 | $LOGBOOK. $LOG_CRD (1) | なし |
シングルステップON シングルステップOFF |
シングルステップが変更されると、これが記録されます。これは、あらゆる方法によるシングルステップの変更をすべて記録します。 | $LOGBOOK. $LOG_STEP (1) | なし |
動作グループ x | 動作グループが変更されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、新しい動作グループです。これは、あらゆる方法による動作グループの変更をすべて記録します。 | $LOGBOOK. $LOG_GRP (1) | なし |
サブグループロボット サブグループ付加軸 |
サブグループが変更されると、これが記録されます。これは、あらゆる方法によるサブグループの変更をすべて記録します。 | $LOGBOOK. $LOG_SGRP (1) | なし |
ユーザ座標 x | ユーザ座標番号が変更されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、新しいユーザ座標番号です。これは、あらゆる方法によるユーザ座標番号の変更をすべて記録します。 | $LOGBOOK. $LOG_UF (1) | なし |
ツール座標 x | ツール座標番号が変更されると、これが記録されます。メッセージ内の「x」は、新しいツール座標番号です。これは、あらゆる方法によるツール座標番号の変更をすべて記録します。 | $LOGBOOK. $LOG_UT (1) | なし |
ファイル'x'がセーブされました ファイル'x'がロードされました |
ファイル'x'がセーブされました ファイル'x'がロードされました これらのイベントは、以下の画面におけるファイルの保存/読み込み専用です。
|
$LOGBOOK. $LOG_FILE (1) | なし |
待機が解除されました (x, y) | 待機を実行中のプログラムx、行番号yの待機命令が、待機解除によってキャンセルされました。 | $LOGBOOK. $LOG_WTRLS (0) | なし |
作成 x 削除 x 書き込み 行x (プログラム y) 削除 行x (プログラム y) |
TPプログラムxが作成されました。 TPプログラムxが削除されました。 TPプログラムyの行番号xが書き込まれました。 TPプログラムyの行番号xが削除されました。 |
$LOGBOOK. $LOG_PGCHG (0) | なし |
位置書き込み イチ[x] (プログラム y) | TPプログラムの位置データイチ[x]が書き込まれました。これらは、プログラムが内部で変更されたときにも記録されます。 | $LOGBOOK. $LOG_SETPOS(0) | なし |
TP 'x' ON TP 'x' OFF |
これは、低レベルのキー操作を記録します。教示操作盤のすべてのキー操作が記録されます。キーが押されると、「TP x ON」が記録されます。キーが放されると、「TP x OFF」が記録されます。教示操作盤有効スイッチと非常停止も記録されます。シフトキーは通常キーとして扱われます。このイベントでは、CRT操作は記録されません。メッセージ内の「x」はキー名で、以下のキーが記録されます。 教示操作盤有効、非常停止 前戻、F1、F2、F3、F4、F5、次ページ シフト、画面選択、一覧、編集、データ、補助、i 上、下、左、右、ウインドウ アラーム解除、ステップ、取消、項目選択、 ホールド、前進、後退、手動送り座標系、+%、 -% 0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、-/,、.、入力、ヘルプ/診断、 ユーザ1、ユーザ2、ユーザ3、ユーザ4、ユーザ5、ユーザ6、ユーザ7、 +X(J1)、-X(J1)、+Y(J2)、-Y(J2)、+Z(J3)、-Z(J3)、 +X^(J4)、-X^(J4)、+Y^(J5)、-Y^(J5)、+Z^(J6)、-Z^(J6)、+(J7)、-(J7)、+(J8)、-(J8) |
$LOGBOOK. $LOG_TPKY (0) | なし |
コールドスタート 停電回復 コントロールスタート |
起動モードが記録されます。 | $LOGBOOK. $LOG_STMD(1) | なし |
アラームと画面をフィルタにかけるために、システム変数を設定できます。
デフォルトでは、操作記録機能はワーニングをフィルタリングによって除去します。ユーザは、ログに記録するエラーを重大度別、タイプ別、および項目番号別にフィルタにかけることができます。 次の 表2, "フィルタリングに使用するシステム変数 "を参照してください。
表2. フィルタリングに使用するシステム変数
システム変数名 | タイプ | デフォルト | 範囲 | 説明 |
---|---|---|---|---|
$LOG_ER_SEV | INTEGER | 6 | -2147483648 2147483647 | エラーの重大度別フィルタ。 この中のビットがTrueの場合、対応するエラーがログに記録されます。
例:6 = PAUSEエラーとABORTエラーが記録されます。 この優先順位は、$LOG_ER_TYPや$LOG_ER_ITMより下です。 |
$LOG_ER_TYP[1-n] | INTEGER | 0 | -2147483648 2147483647 | エラーのタイプ別フィルター。 正の値を指定した場合は、指定したタイプのアラームがログに記録されます。 例:11 = サーボアラームが記録されます。 負の値を指定した場合は、指定したタイプのアラームがログに記録されません 例:-11 = サーボアラームは記録されません。 この優先順位は、$LOG_ER_SEVより上ですが、$LOG_ER_ITMより下です。 |
$LOG_ER_ITM[1-n] | INTEGER | 0 | -2147483648 2147483647 | 個々のエラー別のフィルタ。 正の値を指定した場合は、指定したアラームがログに記録されます。 例:11001 = サーボ-001が記録されます。 負の値を指定した場合は、指定したアラームがログに記録されません。 例:-11001 = サーボ-001は記録されません。 この優先順位は、$LOG_ER_SEVと$LOG_ER_TYPより上です。 |
エラーのフィルタリング を制御するには、以下のシステム変数を設定します。
設定の優先順位は次です: $LOG_ER_SEV < $LOG_ER_TYP < $LOG_ER_ITM
サーボ-001 "操作バネル非常停止" アラーム重度=PAUSE Type=11 Item=11001 サーボ-038 "パルスカウント不一致" アラーム重度=ABORT Type=11 Item=11038 ティーチ-104 "教示操作盤が無効です" アラーム重度=WARN Type=9 Item=9104
表3. アラームのフィルタリングの例
$LOG_ER_SEV | $LOG_ER_TYP | $LOG_ER_ITM | サーボ-001 | サーボ-038 | ティーチ-104 |
---|---|---|---|---|---|
6 | 0, 0, .. | 0 ,0, .. | ログに記録される | ログに記録される | ログに記録されない |
6 | 0, 0, .. | 9104, 0, .. | ログに記録される | ログに記録される | ログに記録される |
6 | 0, 0, .. | 9104, -11001, .. | ログに記録されない | ログに記録される | ログに記録される |
7 | -11, 0, .. | 11001, 0, .. | ログに記録される | ログに記録されない | ログに記録される |
0 | 11, 9, .. | -11001 | ログに記録されない | ログに記録される | ログに記録されない |
画面フィルタリング を使用すると、指定した画面で発生するUIFイベントを操作記録ブックに記録できます。画面フィルタリングは、以下のイベント(UIFイベント)をサポートしています。
'x'が入力されました
'x'キーが押されました
'x'が選択されました
'x'が'y'メニューで選択されました
'x'が'y'ウィンドウから選択されました
'x'が画面メニューから選択されました
'x'が補助メニューから選択されました
手動操作送り座標系 ツール1 など
デフォルトでは、画面フィルタリングは無効に設定されます。画面フィルタリングを有効/無効にするには、$LOGBOOK.$SCRN_FLを使用します。
$LOGBOOK.$SCRN_NO_ENTがTRUEの場合、登録された画面でのイベントが記録されます。FALSEの場合は、登録されていない画面でのイベントが記録されます。
画面を登録するには、ソフトパーツIDと画面IDを$LOG_SCRN_FL[ ].$SP_IDと$LOG_SCRN[ ].$SCRN_IDに設定する必要があります。デフォルトでは、フィルタリングに登録されている画面はありません。
表4. 画面フィルタリング用のシステム変数
システム変数名 | タイプ | デフォルト | 範囲 | 説明 |
---|---|---|---|---|
$LOGBOOK.$SCRN_FL | BOOLEAN | FALSE | FALSE/TRUE | 画面フィルタを無効/有効にします。 |
$LOGBOOK.$SCRN_NO_ENT | BOOLEAN | TRUE | FALSE/TRUE | TRUE:登録された画面でのイベントは記録されません。それ以外の画面でのイベントは記録されます。 FALSE:登録された画面でのイベントは記録されます。それ以外の画面でのイベントは記録されません。 |
$LOGBOOK.$NUM_SCRN_FL | Integer | 20 | 1,200 | $LOG_SCRN_FLの数 |
$LOG_SCRN_FL[ ].$SCRN_ID | ULONG | 0 | 0,4294967295 | フィルタ用の画面の画面ID |
$LOG_SCRN_FL[ ].$SP_ID | ULONG | 0 | 0,4294967295 | フィルタ用の画面のソフトパーツID |
パスワードが記録されないよう、画面にフィルタをかけるには、 次のように設定します。
$LOGBOOK.$SCRN_FL = TRUE $LOG_SCRN_FL[1].$SP_ID = 935 $LOG_SCRN_FL[1].$SCRN_ID = 1
iPendantをお使いの場合は現在の画面の ソフトパーツIDとスクリーンIDを確認することができます。 表示メニューを開き、ヘルプ/診断を選択してください。そこでメニューヘルプを選択すると、各画面のソフトパーツIDとスクリーンIDの一覧が表示されます。